airiphys’s memorandum

@airi_physics の覚書

フランスでのポスドク開始

 

渡航直前の日本での研究室締めくくり・温州の人たちを含めたWorkshop@千葉大,国際会議ISMCを経てヘトヘトの中,なんとか9/11の0時台の便で渡航した.パリでトランジットし,9/11昼過ぎにボルドー着,なんと初日からラボに顔を出した(少し).

今日でボルドーに降り立って5日たったので,今の目線で書き留めておきたい.

この間にsim契約からの変更,雇用契約スマホ購入,アパート入居,ラボはじめ(事務,研究の議論),銀行口座開設なども終え,信じられないほど順調に生活が落ち着いた.

 

研究環境

LOMA(物性分野の一部に関するリサーチユニット)の建物単位で動いている,その中に3つの大きいチームがあり,「凝縮系理論」と「フォトニクス&マテリアル」と「ソフトマター&生物物理」(ÉQUIPE MATIÈRE MOLLE & BIOPHYSIQUE)で,凝縮系理論のみはグループに分かれてないがあとの2つのチームの中にまた,それぞれ5グループ所属している.(グループが一応研究室と思って良い)

 

LOMAは3階建ての建物で,ほぼ研究所のように感じる.ネットワーク・実験安全の管理,テクニシャン,事務,普段の交流(@素敵な共用スペース)とかもLOMA内で完結しそう.グループの垣根はない.なので,ここの人は大体知り合いか知り合いになる予定と思った方が良さそう.

綺麗な建物にΦマークがあるが,近くに廃墟のようなΦマークの建物があるので,移転したのかも?.

 

「グループは小さいが効率的」という意見を前のポスドクから聞いていた意味が少しわかってきた.また,生活のカルチャーショックだけでなく,実験作業面でのカルチャーショックもあった.中国の研究所の時と同じく,共用設備やテクニシャン・エンジニアがいて,各ラボの設備は特徴的な実験系に絞られているかもしれない.まだ所属グループの実験室しか見てないので,他はどんな感じだろうか.実験はエンジニアリングの人員に支えられている.化学作業ルームは2,3グループ共用であった.

 

ところで,近い分野,共同研究もよくあるボルドー大学内の別のリサーチユニットは,

どちらもソフトマターの人が存在する.一人は日本で会うことができた.私も多分関わることがあるだろう.

LOMA

 

お昼ご飯は大学の食堂に行くのかと思っていたが,普通そうでもないようだ.まずCNRSの食堂と大学の食堂があるらしい.CNRS雇用の場合,CNRSの食堂で安く食べられるらしいが,キャンパスの遠いところなのでトラムで行く必要があるらしい.今度行ってみたい.

ということもあるせいかどうなのか,LOMAのキッチンとテーブル・テラス席付きのあるところでその辺で買ってきたものか持ってきたものを食べるかしているようだ.

レンジもあるし,無料で飲めるコーヒーマシンもあるし,お湯もある.

人によっては,スーパーにいってサンドイッチとフルーツを買ったり,近くのテイクアウトできるところで買ったり,家からソーセージと白インゲンのメインディッシュ+りんごを食べている人とか,レンジでチンするだけのパスタをたべてる人とか,(乾燥)クスクスとトマトソース瓶(かラタトゥーユ缶)を買ってきてその場でお湯でふやかして混ぜて食べるとか,いろんなバラエティがあって興味深い.外食は高いから,テイクアウトも含めた上の手段で節約しているのかもしれない.

人の昼食の例@共用スペース

サイン社会でなんでも書面化するとか,大学の事務手続きははやいとか(行政は...噂では...),色々文化を感じる.安全に関する講習とか,セキュリティはかなりしっかりしている.

あと,生でOh la laとかピュタン(ダーティーワード)とか,息をぷっと音を鳴らしてふくとかフランス人の生態を少しずつ垣間見ている.

 

街の様子

今まで行った都市の中ではバルセロナに似ていると感じる.理由は,風景,鳩が多い(困った),車椅子や松葉杖の人が一人でよく出歩いているという点である.インクルーシブで良いと思う.観光地感はそこまでないので,治安はバルセロナよりはよさそう.

路上喫煙が多い.喫煙者が多い.電子タバコも葉巻も,老若男女.受動喫煙注意.

あらゆる国のレストランがある国際都市と感じる.

フランス,イタリア,レバノンケバブなど中東,タイ,ベトナム,中国,日本,韓国,オランダのコロッケ,...学生の街なので,いろんな国の学生がいることも関係あるかも.日本人も結構いるのだろう.中国語は街で聞くことがある.中国人学生にトラムで話しかけられた.知らない日本人の声はまだ聞けていない.

 

街はコンパクトで,よく歩く人なら歩いて全て回れそう.コンパクトながら,必要なお店は揃っており,効率的だと感じる.普通のヨーロッパあるあるを少しずつ体感していているが,意外だったのは,犬のフンは落ちてないこと.あと,ボルドーの店員は優しい.特に女性がフレンドリー.(シャルルドゴール空港内の店員は少し怖かった).環境意識は高いのだろうとは思う.リサイクルボックス,中古ショップ,簡易包装にプラスチック製品の少なさ,紙や袋がお高め,など色々見る.基本日中仏で色々生活を比べてしまうので,決定的にどちらが近いということはなく,ここは中仏で似てるな〜とか楽しんでいる.

 

住宅

本当にアパートを見つけるのが大変と聞く.私は日本人が現地で仲介業をしているところでうまく見つけ,スムーズに予約,そして電気ガス水道の契約までやってもらった.家具やカトラリーとかまでついているので,便利この上ないし,おしゃれ.中国で仮住まいから家具なしのアパートに移り住環境を落ち着かせるまで渡航から1.5ヶ月かかったのを考えると,2日でそこまで辿り着いてしまったことに驚き.住居が固定になり生活がいち早く安定すると,いち早く研究が開始できる.これは,とても良い選択をしたなと思った.

フランス人からも,「フランス人よりうまくアパート見つけてる!普通もっと待たなきゃいけなくて大変」との褒め言葉をいただいた.

 

大学の海外研究者のadminサポートする組織

銀行口座開設,滞在許可,社会保険,フランス語学習,などをサポートしてくれる.これは,周りの院生や同僚を付き合わせなくて済む.(ここは中国では同僚にお世話になりっぱなしで,研究時間を圧搾して申し訳なかった)

まず,英語の通じる銀行口座開設のアポをとってくれて,一人で行ったら,窓口の並んだあの感じではなく,オフィスだった.ソファーで出されたコーヒー飲んでたら担当者が個室に案内してくれて,丁寧に説明しつつ世間話をしつつで30分以内に完了した.優しい女性だった.一週間ほどでカードが郵送されて完了らしい.給与が払われる口座だからか,どういうわけかはわからないが,開設も維持も無料だった(BNPパリバというメガバンク).雇用条件にもよるのだろうが.

語学学習コースは10月からあるらしいので,申し込んだ.ちなみに,前ラボにいた中国人ポスドクは来た当初はほとんどフランス語ができなかったようだが,2,3年いてかなり喋れてたのこと.

 

おわりに

というわけで,まだ5日なのにかなり生活に慣れてきた気がする.最初の2日だけがおっかなびっくり生きていた.ただ,気持ち的に土地に慣れたなと思うまでの期間が短い私なので(中国でも二週間で気持ちは一旦落ち着いた),適応能力は高いのかもしれない.

慣れてないことのうち,いちばんハードルが高いが乗り越える必要があることは,フランス人同僚のフランス語会話に入っていくことである.さんざん中国で悩んできたこととほぼ同じである.そして,この問題が非フランス語話者にメジャーな問題であることは,フランスでポスドクや滞在をした方々,日本に長くいたフランス人研究者などいろんな人からアドバイスをいただいていた.具体的には,

日本に長くいたフランス人研究者「個人的に取るな,あなたを閉め出すためにフランス語で喋っているわけではない.快適だからすぐそうなっちゃうだけ.定期的に英語で刺激しないとすぐフランス語に緩和してしまう.」

フランスポスドクをした女性研究者「みんな話しかけてくれないと最初はしょげていたけど,フランス語を頑張ってフランス語で話しかけ始めたらめっちゃ話しかけてくれるようになった.」

このことは頭では理解しているし,フランス語も頑張るけど,まだ勇気がそこまで出ていない.語学よりも図太く,"What are you talking about?" "Are you talking about...?"とかとにかく突っ込んでいかなくては.内容はまずどうでもいい.こういうことを考えるのも,生活が即安定したがため.初めは何のコミュニティでもいいので,色々知り合いを作っていこう.今日はなんとか会話をinterruptする大義名分の日本のチョコレート配りで頑張った.チョコレート外交でもそれで話す勇気が出るなら安いもんじゃないと思う.まだ覚えたフランス語も挨拶くらいしか使えていない.まぁ気楽に行こう...

 

これからいろいろあるだろうけど,実験,いろんな人との共同研究,出会い,食べ物,言語・文化習得,楽しみがいっぱいだ!来る前は忙しすぎて不安があったけど,まぁやっていけそうだ.

がんばろう!